「機械や車両などの設備投資のために借りた借入金の返済がCFと合わない」とのご相談をよく受けます。
資金繰りで返済が厳しくなってくると、とにかく新しく借入をすることで、何とか返済を継続していっても、借入が増えていくことから毎月の返済額はさらに増えていくことになります。
このような場合、どんな選択肢を検討したらよいのか?についてお話させて頂きます。
以前にもお話ししましたが、設備資金の返済原資は「CF(税引き後利益+減価償却費)」になることから、税務上の法廷償却年数と返済期間が一致していることが望ましいです。
よくあるケースでは償却年数が「20年」もあるのに、返済年数が「10年」で返済をしていると、減価償却ペースト返済ペースが合わなくなり、利益を上げてさらに納税しながら返済を継続してくことになります。
また、設備資金を借りた時に計画した「売上と利益」が、計画を下回り、CFが回らないケースもよく見かけます。
このような場合、減価償却費負担により利益が「赤字」になっていることが多いです。
つまり、設備資金の返済が苦しくなる理由は
➀当初の返済年数の設定ミス
➁当初の計画が履行できないミス
この2つの理由に行き着くはずです。
そこでこのような資金繰り状況を回避するために新たな借り入れをしたとしても、この融資の資金使途は「設備返済見合いの赤字補填資金」になり、プロパーだとしても「保全」が必要になり、通常は「保証協会保証」の融資を使うしかないことになります。(返済の見込みが乏しいのが大きな理由です)
しかし、新たな借り入れをせずに乗り切れる方法がひとつだけあります。
それは「法廷償却年数」ではなく「経済耐用年数」に引き直しして、実質より長い期間に「借り換える」という手法です。物件によって年数は違いがありますが、「経済耐用年数」のほうが「法廷償却年数」よりも長いことから、より長期の返済期間に組みなおすことが可能です。
ただし、既に設備資金を融資した銀行が、この「借り換え」に応じるかどうかはやってみないと分からないのも本音です。金融機関によっては「経済耐用年数」に伸ばすとはいえ「実質リスケ」だと主張してくる可能性があるからです。
とはいえ、いきなり「リスケ」や「新たな借入」のチャレンジをする前に「経済耐用年数」での交渉はアリだと思います。
設備資金の返済が回らないお金を「運転資金」として借りたとしても、毎年借り続けいかなければならず、借入本数も返済金額も増えていくのが目に見えております。
このような資金繰りの悩みをもつ方は是非「経済耐用年数」の考え方を参考にしてみてください。