私のクライアントからあった質問です。
「都心にマンションを1室取得したいが融資は下りるでしょうか?なお、資金はフルローンでやりたいのです」と尋ねられたら皆さんはどのように返答しますか?
今回は「投資目的」で不動産を取得する際の融資の審査ポイントについてお話をします。
私が銀行員時代で、特に融資部に在籍した時に支店からの稟議で一番審査しづらかったのが「アパートマンションローン」つまり「収益物件=投資物件」取得関わる融資でした。
審査しづらい理由としては主に下記の点があります。
〇融資期間が超長期であること(最長は30年ほど)
〇物件のリスク(空室率や周辺環境の変化)が超長期では予想不可能であること
〇できれば空室リスク分散のためにも部屋数が多いほうが望ましいが、部屋数が少ないほどリスクが高くなること
(1室あたりの賃料への依存度が高くなる)
〇超長期になれば金利変動リスクにさらされることから「保守的」な審査基準にせざるを得ない
つまり、返済期間が長いことから、リスクの発生ポイントが多く、どうしても「保守的な視線」で審査をせざるを得ないのが実情です。(もちろん、物件の収支計画や家賃保証の有無など他にもみるべきポイントはあります)
そうなると、最後は
〇物件の担保価値(物件の処分価格にて回収できるか)
〇債務者本人の資力(家賃以外に補填できるキャッシュがあるか)
この2つに審査を依存せざるを得ないのが実情なのです。
私の経験では、一般事業会社への運転資金や設備資金の融資の審査よりも数倍の審査時間がかかっていました。
さきほどの審査しづらいポイントでも挙げましたが、賃貸マンショ・アパートにおいては「部屋数」が多いほうが審査としてはやりやすくなります。「空室リスク」を分散する対象が多いほうがベターです。
ただし、今回のタイトルのように「マンション1室」だけでの融資はかなりハードルが上がります。理由はいたって単純でその1室が空室になれば当然賃料は「0」になり、賃料は「100%」か「0%」の2択しかありません。
どうしても融資が通りやすくするように考えるには
〇フルローンは無理だが、自己資金の割合を50%以上にする
〇かつ賃料以外での収入にて返済可能な資力を示すこと
この2つが必要条件になります。この2つが揃ったとしても審査は難しいと思われます。(審査の建前上は賃料で返済するスキームが必要ですし、空室が発生しないことは説明できないはず)
このようにそもそも「アパート・マンションローン」の審査は難しいうえに、さらに「1室限定」となれば、さらにハードルは上がることを覚えておいてください。