設備投資を行う際に、設備投資の所要資金が足りなくなり、運転資金としてさらに借りた資金を充てる事例を時々見かけます。
借入をする際の資金使途には大きく分けると「運転資金」と「設備資金」に分けられますが、そもそも各々の資金需要と借り方・返済原資には大きな違いがあり、混同するのは大きな間違いです。
今回は、設備資金に対して運転資金を充ててしまうとどうなるのか?についてお話します。
設備資金を借りる際には、事前に金融機関に「見積書」を提出し、その予算の範囲内で行うのが一般的です。所要資金の全てを借入でするよりも、ある程度の自己資金を投下し、借入額を少しでも圧縮できるのが理想です。(住宅ローンの借入も同じ考え方です。100%ローンはリスクが高くお勧めしません)
また、
設備資金で最も大切なのは「資金使途」確認になります。
「設備資金」として融資したお金で設備を購入せずに「運転資金」(赤字補填するケースが多い)にて流用してしまうのが金融機関にとっては最悪のケースになることから、設備資金を融資したお金はすぐに支払元(購入先)に振り込むのが鉄則になっています。
さらに、わざと見積金額をメーカー等に水増しさせて、購入金額の上澄みを図るケースも稀にみかけますが、こちらも「資金使途違反」になります。
つまり、設備資金の鉄則は「正当な見積金額の範囲内のみ」での融資になります。
では、当初の設備投資の金額から投資金額が増えてしまったが、これ以上の融資は銀行から難しいと言われた場合にはどうしたらよいでしょうか?
どうしても設備投資に踏み切るのであれば
➀自己資金にて差額を支払う
➁さらに運転資金の借入をして差額を補填する
この2つの選択肢しかありません。➁を選択してしまった場合
➂上述のとおり「資金使途違反」と他行から言われる可能性がある
④本来必要な運転資金を上回る額を借りてしまうことから、他行から運転資金が出ない
この2つが懸念されます。
特に④については、本来の必要な運転資金の額は(売掛金+在庫-買掛金)で決められているために、それ以上の融資を受けると、当社に対して他の銀行からの見方が変わる可能性があります。
また、運転資金と設備資金では返済期間の設定が全く違うので、仮に差額を運転資金で補填できたとしても、その後の返済ペースに歪みが生じて、CFが回らなくなります。
つまり、本来は設備資金だけで終わらせるべきで、他の資金使途の借入金を流用するのは避けないといけないことを強くお伝えしておきます。