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【銀行融資ブログNO.156】経営者保証の有無とコベナンツの組み合わせが多くなっています

2025/02/01

最近、経営者保証を求めない融資のスキームが増えてきており、特に創業期の融資制度には基本的に経営者保証を求めないようになってきています。
今は「経営者保証」は当たり前ではない時代になってきましたが、既存の融資先に対して、経営者保証を求めない代わりに一定の条件を満たしてもらう「コベナンツ型」の融資を目にするようになりました。
今回は「経営者保証」と「コベナンツ」の組み合わせについてお話をさせて頂きます。

経営者保証に絡んだ「2つ」のコベナンツスキーム

経営者保証に絡んだコベナンツ(債権者と債務者の約束ごと)には大きく二つのスキームがあります。

➀停止条件付保証契約
➁解除条件付保証契約

➀の停止条件付保証契約とは、現時点では経営者保証ガイドラインの3要件※を満たしているが、将来、未充足になる懸念があることから、経営の規律付けが必要と考えられる債務者を対象としたものです。

※経営者保証ガイドラインの3要件
〇法人と個人の関係の明確な「区分」「分離」
〇「財務基盤」の強化
〇適時適正な「情報開示」

つまり、経営者保証ガイドラインの3要件を満たしていれば、経営者保証は求めないとことになります。
会社と経営者の間にお金の貸し借りや私的流用がなく、純資産がきちんと確保され、試算表や資金繰り表等の情報開示をきちんとやっていればOKといった感じです。

➁の解除条件付保証契約は➀とは真逆になります。現時点では経営者保証ガイドラインの3要件が未充足であるが、ガイドライン充足に向けて、コベナンツ管理により、経営の規律付けが必要と考えられる債務者を対象としたものです。

コベナンツの一例としては

「厳しめ」バージョン
〇「仮払金」「貸付金」がない、または減少していること
〇償却前経常利益が2期連続赤字ではない
〇直近期で債務超過はない
〇四半期ごとに試算表を提出
「緩め」バージョン
〇融資実行から3年経過後に「期限の利益喪失事由」のいずれにも該当していないこと
〇融資実行から3年経過後に全ての借入に対し「リスケ」をしていないこと
〇融資実行から3年経過後に全ての借入に対し「返済遅延」がないこと

「厳しめ」と「緩め」ではかなり差がありますが、融資実行当初は経営者保証をとるが、一定の条件を満たしたら、保証人を解除しますといった契約になります。

コベナンツの内容は各金融機関のスタンスや債務者で異なってきますので、画一的なものではなく、あくまで一例として考えてください。

銀行はCFの予測ができない

では、銀行はこのような企業にはどのような印象を持つでしょうか?

〇毎月の役員報酬が低すぎる
 →他に給与をもらう副業があるのか?別会社を経営しているのか?この企業に力を入れているのかわからない
〇「役員賞与」の額が毎年変動することから、この会社のCFを生み出す実力が分からない
 →長期融資を考えるのが難しくなる
〇経費が多く、経営者の姿勢が問われる
 →当社のビジネスモデルはそこまで「経費」が必要なのか?
〇「定性評価」でマイナス点になる可能性ある

などなど、結論としてはその企業に対しては「猜疑心」をもった目で見てしまう可能性が高いといえますし、無借金であれば何の問題もないかもですが、債権者からの目線でプラスになることはひとつもないと言えます。

債務者にメリットのあるコベナンツスキームは賛成

私個人としては「コベナンツ融資」は不要と思って(銀行の手数料稼ぎでしかない)いますが、今回の「経営者保証」に関するコベナンツスキームは債務者に大きなメリットがあると思いますので「賛成」です。

経営者にとって「保証債務」は自身のリスクや後継者負担の軽減のためにも大きな意味のあるものです。
皆さんも金融機関から提案された場合は、是非前向きに検討してみてください。

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