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【銀行融資ブログNO.155】「役員賞与」を支給する企業への銀行の見方はどうなのか?

2025/01/15

社会保険料の負担が年々増加していく時代に「社保節減」策として「役員賞与」の活用を提案する社労士をよく見かけます。この提案を採用した企業の決算書や試算表を拝見することがあり、銀行融資の審査の観点ではどう感じるのか?について今回はお話しさせて頂きます。

毎月の役員報酬とのバランスが悪いと「ひずみ」が必ず出る

「役員賞与」自体は事前届があれば、税務上問題ない制度であり、「役員賞与」自体を私も否定はしません。
ただし、「社保節減」を目的とした場合には、様々な「ひずみ」が出てきます。私が目にした「役員賞与」採用企業における気づいた点を挙げてみます。

〇毎月の役員報酬が極端に低く、期末に一気に「役員賞与」を支給
 →極端に低いと「税務上」でも問題がありそうですが
〇毎月の役員報酬が低すぎることから生活費が足らなく「仮払金」を出している
 →「仮払い」を期末の「役員賞与」支給にて相殺する
〇「交際費」「旅費交通費」などで生活費を会社に負担させる
 →税務上の問題はもちろんのこと、経営者の姿勢も問われる
〇社保節減に注力する経営者は「節税」の意識も極端に高い
 →本業の利益が削がれることになる

上記は私が実際に目にした企業の資料を見たリアルな事例です。「社保節減」を前面に出すことで、本業の利益が削がれ、本来計上しなくてもいいような「経費」が嵩んでくることになり、結果として財務内容は悪化する傾向があります。

銀行はCFの予測ができない

では、銀行はこのような企業にはどのような印象を持つでしょうか?

〇毎月の役員報酬が低すぎる
 →他に給与をもらう副業があるのか?別会社を経営しているのか?この企業に力を入れているのかわからない
〇「役員賞与」の額が毎年変動することから、この会社のCFを生み出す実力が分からない
 →長期融資を考えるのが難しくなる
〇経費が多く、経営者の姿勢が問われる
 →当社のビジネスモデルはそこまで「経費」が必要なのか?
〇「定性評価」でマイナス点になる可能性ある

などなど、結論としてはその企業に対しては「猜疑心」をもった目で見てしまう可能性が高いといえますし、無借金であれば何の問題もないかもですが、債権者からの目線でプラスになることはひとつもないと言えます。

最終的には「経営者の心、考え方、姿勢」が数字に出る

私個人的には「節税」も「社保節減」も反対派です。節税はキャッシュを外に逃がすことになり、やりすぎれば本業の資金繰りに影響が出ます。企業の最大の目的は「持続できる経営」にあると思っていますので、税金を払い、残りを手元に貯めることが一番だと思います。

「節税」等に傾注する経営者はその人の「考え方」「行動」「姿勢」が必ず「数字」に出てきます。「数字」は経営者そのものですので、何事も「バランス」を大事に考えていただきたいものです。

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