みずほ銀行が2023年から始めた支店事務のボーダレス化が全国化しているニュースを目にしました。
支店事務のボーダレス化とは、店舗ごとの閑散差や得意業務を生かして周辺の店舗でバックオフィス業務を融通することです。
背景には人手不足や店舗の集約化などがありますが、取引先への影響はどういったことがあるのかについて今回はお話しさせて頂きます。
支店事務のボーダレス化とは記事によると
「融資に特化した支店」に周辺の支店の融資稟議作成や信用格付や担保管理の事務を集約させることを意味します。
銀行側としては特に地方店舗において求職者や退職者が出た場合、対応できる人員の補充が難しく、周辺店で助け合うことで突発的な欠員が発生しても、支店運営ができる事務体制を目指せることがメリットになります。
では支店を企業側に向けてみるとどういったことが考えられるでしょうか?
〇担当者以外の者が「稟議」や「信用格付」を行うことで、詳しく知らないものが正確な評価ができるか?
〇数字だけの機械的な判断になることで、画一的な判断にならないか?
〇急な資金需要や相談に対応できるのか?
など不安な点にあります。
特に融資の肝となる「信用格付」においては担当者以外の者が作業することで、数字の裏にある背景や企業ごとの特性などの「定性部分」の評価ができなくなる懸念もあります。
銀行事務のボーダレス化は今後、人手不足や店舗の統廃合の流れの中でメガバンクに限らず、より加速していくことが予想されます。
またAIの進化により稟議作成なども「自動化」される流れになることでしょう。
そういった時代の流れの中で企業側としては何をしないといけないか?
企業側から事業の「ビジネスモデル」などの情報発信がより必要となり「事業性評価」に基づく正しい判断をお願いすることです。
具体的には「早期経営改善計画」(プレ405事業)になります。
会計事務所のほとんどは「認定支援機関」として登録されており、会計事務所としても顧問先企業とより深いコミュニケーションのもとで顧問先の事業の特徴を「可視化」させ銀行に情報提供していくことです。
数字だけの画一的な判断にさせることなく、数字では見えない企業の「SWOT」を理解してもらうことが必要になります。
企業の事業全体を担保権として捉える「事業成長担保権」も、近い将来実施されます。「事業成長担保権」においてもキーワードは「事業性評価」になります。
決算書だけの情報提供では、これからの時代の融資には対応できなくなることをよく理解しておいてください。