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【銀行融資ブログNO.149】融資取引の根幹たる「銀行取引約定書」に目を通したことありますか?(その➁)

2024/09/15

前回から「銀行取引約定書(以下約定書)」についてお話をしております。

前回にお話した約定書に関わる中で抑えておいて欲しい4つのポイントは

➀「期限の利益」喪失事項
➁「利息」「遅延損害金」
➂「相殺」「払い戻し」充当
④「報告」「調査」

になりますが、今回は➁~④についてお話をします。

金利を引き上げるパターンは2つある

金融機関が金利の引き上げをする場合は以下の2つのパターンがあります。

〇短期プライムレートなどの市場金利に連動している借入をしている場合
〇市場や債務者の状況が変化し、交渉により金利を引き上げる場合

〇借入金利が短期プライムレートやTIBORなどの市場金利に連動している場合には、市場金利の変化により金利は変化します。当初契約で市場金利連動型で契約をしていれば、交渉の余地はありません。(住宅ローンの変動金利型も同じです)

〇次に、交渉による金利引き上げですが、約定書には以下のように記載されています。

『甲乙間で定めた利息、割引料、保証料、手数料、清算金またはこれらの戻しについての割合お よび支払の時期、方法についての条件(以下、本条において「本条件」という。)は、甲の財務 状況の変化、担保価値の増減等により乙の債権の保全状況に変動が生じた場合、または金融情勢 の変化その他の相当の事由がある場合には、甲または乙は相手方に対し、本条件を一般に行われる程度のものに変更することについて協議を求めることができるものとします。』

つまり、債務者の信用力の変化や不動産などの担保価値の下落があった場合には、その見合いとして金利を引き上げる協議が出来るのです。

赤字が続いたり、CFの低下傾向がみられる場合に、以前より高い金利を提示されるのは、この条項に基づくものです。

期限の利益を喪失すると、預金口座はロックされ、相殺される

借入期限が到来しても返済が出来ていない場合や、期限の利益を喪失した場合など、債務者が返済を行わない場合には、金融機関が債務者がもつ預金口座の預金と借入金を相殺することが可能になります。

『期限の到来、期限の利益の喪失、買戻債務の発生、求償債務の発生その他の事由によって、甲 が乙に対する債務を履行しなければならない場合には、乙は、その債務と甲の預金その他の乙に 対する債権とを、その債権の期限のいかんにかかわらず、いつでも相殺することができるものと します。
前項の相殺ができる場合には、乙は事前の通知および所定の手続を省略し、甲に代わり諸預け 金の払戻しを受け、債務の弁済に充当することもできるものとします。この場合、乙は甲に対し て充当した結果を通知するものとします。』

つまり、期限の利益を喪失すると、金融機関は預金口座をロック(お金の出すことができない)し、速やかに借入金と相殺することになります。
前回にもお話ししましたが、税務署や年金事務所から預金口座の差し押さえを受けると、相殺されることが分かると思います。

最後の「報告」の義務は決算書や試算表等の情報開示は当然のこととして行うこととされています。

このように「銀行取引約定書」には融資取引の基本が網羅されいますので、是非目を通しておいてください。

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