「銀行取引約定書(以下約定書)」とは、金融機関から融資を受ける際に最初に取り交わす契約書になりますので、融資取引のある方は必ず手元に本契約書があるはずです。
ただ、約定書に目を通したことは少ないと思います。今回は約定書のなかでも知ってて欲しいポイントについてお話をさせて頂きます。
約定書は冒頭に述べた通り、融資取引の最初に交わす契約書のことです。融資取引のたびにお互いの約束事の契約を交わす手間を省くために、「普遍的な約束事」についてお互いに取り決めを行うようにしております。さらに、実際に融資を受ける際には例えば長期借入を行う際には「金銭消費貸借契約証書」を交わし、対象金額、元本の返済方法や期日、利息、連帯保証人などの個別の契約を交わすことになります。
それぞれの金融機関ごとで約定書は決められておりますが、一般的な内容はどの金融機関でも共通です。(全国銀行協会のHPに雛形が掲載されています)
なお、「約定書」の文言変更は契約前・後においても基本的には認められておりません。ただし、銀行との交渉により、上記のとおり「金銭消費貸借契約証書」等の個別の契約については条件変更の交渉の余地があります。
約定書の中でも債務者に大きくかかわる項目は下記の4点です。
➀「期限の利益」喪失事項
➁「利息」「遅延損害金」
➂「相殺」「払い戻し」充当
④「報告」「調査」
この中でも一番注意して欲しいのが➀の「期限の利益」喪失に関わる条項です。
「期限の利益」とは借入期間が5年だとして5年間の分割返済を契約通り行っていれば、その5年間の時間は債務者の利益になるとの意味になります。
ただし、約定書の契約を違反した場合に、期限の利益を喪失することがあります。
期限の利益を喪失する事由には「当然喪失」と「請求喪失」の2種類があります。
「当然喪失」とは下記に該当する場合に金融機関から速やかに期限の利益を喪失させます。