ホーム > 銀行融資ブログ > 【銀行融資ブログNO.147】預金残高が「月商1か月分」まで減少した時に検証すべきポイントは

銀行融資ブログ
銀行融資ブログ

【銀行融資ブログNO.147】預金残高が「月商1か月分」まで減少した時に検証すべきポイントは

2024/08/15

預金残高はどのくらいあったほうがいいのか?との質問をよく受けますが、「多くあるに越したことはない」というのが私の考え方です。

しかし、預金残高がいくらまで減っていると危ないか?の質問に対しては答えが決まっており、「月商1ヶ月分を切ったら危険水域です」と答えております。
今回は危険水域としている「預金残高が月商1か月分を切った場合」に考えるポイントについてお話しさせて頂きます。

預金の減少には大きく3つの理由がある

手元預金が減少する理由としては大きく分けて下記の3つの理由が挙げられます。(まだ他にも理由があるケースがありますが、今回は省略します)

➀運転資金の増加により手元資金が減ってきいている

「運転資金」=「売掛金」+「在庫」-「買掛金」で算出される金額は会社が赤字であろうが、債務超過であろうが必ず事業を継続するには必要になるお金です。
例えば、売上が増加しているのに、運転資金の借入を増やさなければ、「売掛金」増加分に相当する手元資金は減少しますし、「在庫」が増えれば、その分手元資金は減少します。

つまり、「売上の変化に対応した資金調達を行えていない」場合に、預金残高が減少しているはずです。

➁銀行返済額がCFより大きい

例えば
〇銀行への年間返済額が10M
〇年間の創出CFが5M
だとします。この状態だと 5-10M=▲5Mとなり、手元資金は減少します。

ただし、➀にあるように「運転資金」は常に借り続けておく必要があることから、銀行の年間返済額10Mのうち、運転資金に相当する返済に対しては「折り返しで借りる」ことを行えば、手元資金の減少を防げます。
つまり、「借入の中身と返済の中身を理解していない企業」は預金残高の減少を招くと言えます。

➂赤字が続いている

これは当然のことでが、赤字が続いて、赤字を止める企業努力を行っていなければ、預金残高は減少します。さらに、赤字が続いていることから銀行からの借入もできなくなり、さらに手元預金の減少を招くことになります。
つまり、企業として無策のまま、時間だけが過ぎ、預金残高の減少となっていると言えます。

この上記➀~➂以外にも、例えば設備投資を自己資金が行った場合にも預金残高の減少を招くことになりますが、➀~➂に共通しているポイントは「預金残高の減少理由を把握できていない」ことが挙げられます。

預金残高が月商の1か月分まで落ち込むと、受注が増加・減少したりなどの変化に対応できないことになります。

私としては預金残高1ヶ月まで減少したら基本的には「リスケ」を行い、その時間の間に何が原因かを検証する時間を作ることを勧めています。

仮に、➀の理由だけであればリスケの必要はありませんが、実際には➀の理由で預金残高が1ヶ月まで減少するケースは少なく、実際には➁と➂の理由が多くなっています。

皆さんにおかれましても、「預金残高1ヶ月=危険水域」をメルクマールにしてくれればと思います。

ページTOPへ