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【銀行融資ブログNO.143】年間返済額とキャッシュフローが合わない場合にどのような判断をすべきか

2024/05/01

銀行からの借入の年間返済額と債務者が生み出すキャッシュフロー(以下CF)が合わないケースは中業企業では多くあります。
今回は、そのような場合に、どのような考え方をし、どのような対処をしたらよいのか?についてお話しします。

CF<年間返済額とはどのような状態か?

例えば以下のような状態の会社があったとします。

従前の銀行への年間返済額 10M >会社の生み出すCF 5M →差額▲5M

このような状態で追加の借入をしなければ、手元の預金が5M減っていきます。なので経営者は預金が減っていることに慌てて追加の借入をしていきます。

ここで追加の借入を10M(期間10年)した場合、新たな借入10M分の返済(年間返済1M)も追加されることになるので銀行への返済額は11Mになります。従前の借入の返済が終われば減っていきますが、仮にまだ減らない状態だと

新たな銀行への年間返済額 11M>会社の生み出すCF 5M →差額▲6M

CFがあくまで変わらない前提としても、年間返済額は増えていくので、さらに手元預金は減っていくことになります。「据置期間」を使えばいいのでは?の考え方ももちろんありますが、据え置き期間の間にCFを増加できる絵がきちんとあるかが大きなポイントになります。

CFの拡大が見込めない場合にはどうしたらよいか?

CFの拡大が見込めない場合には以下のふたつの選択肢で考えます。

➀会社が追加借り入れができる財務内容の場合

追加で借り入れできる財務内容とは信用格付けでいう「正常先」の状態です。(正常先の詳しい定義はここでは省略します)
「正常先」の場合は借入の中身を分解させます。
つまり、借入の全体から「正常な運転資金」「運転資金以外」の借入のふたつに分けます。
(正常な運転資金とは「売掛金」+「在庫」-「買掛金」)
正常な運転資金の部分は「短期コロガシ」にて返済がない借り入れのシフトチェンジし、運転資金以外の借入をCFと同等の年数の範囲に組み換えができればCFとのバランスが取れます。

従前の銀行への年間返済額 10M >会社の生み出すCF 5M →差額▲5M
                  ↓
「正常な運転金」返済額「0」+「運転資金以外」返済額「5M」=CF 5M →差額±0

※短期コロガシの方法についてはバックナンバーをご参照ください。

➁もう追加借り入れができない財務内容の場合

追加の借入が出来ない状態とは「赤字」+「債務超過」=「要注意先」以下になります。

この場合には、私は即「リスケ」をお勧めしています。

もちろん、来期に黒字が間違いなく可能であり、債務超過が3年以内に解消できる絵ができるのであればリスケを回避する方法も考えますが、もし赤字が続けば手元資金が減るだけになり、かなりリスクが高くなります。(追加で借り入れができる状態なのか否なのかの判断は、専門家にアドバイスを聞くことをお勧めします。)

CFがあるからリスケ何てしなくてもいいでしょ。との意見もありますが、大事なのはCFと返済額とのバランスにあることを強く意識するようにしてください。

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