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【銀行融資ブログNO.141】手形サイトが「120日」→「60日」へ短縮への対策はどうするか

2024/04/01

公正取引員会と中小企業庁は手形サイトが「60日超」の手形を発行する事業者に対して一律に指導できるよう、下請け代金支払遅延等防止法に基づく指導基準を改訂します。

これまで「120日」(繊維業は90日)を超える場合に指導対象としてきましたが、期間短縮に踏み切れない事業者が多いため今回は政府の指導権限を強めることでかなり踏み込んだ内容になる予定です。
また業種を問わず、60日を超える手形は金融機関でも「割引困難な手形」とみなされるとしており、手形の発行事業者だけでなく受け取り事業者にも影響が出てきます。(紙手形・でんさい問わず)
11月ごろの運用開始としており、手形の発行事業者の資金繰りにも大きな影響を与えることから資金繰り支援策も併せて用意する方針です。
ここで考えないといけないのは「手形発行者」「手形受取者」両面での対策です。

手形発行者側の対策→運転資金の増加に備える

これまで「120日」サイトで発行していた事業者が「60日」サイトに短縮されると単純に「60日」支払が早くなります。
運転資金の計算式で考えると
「運転資金」=「売掛金」+「在庫」-「買掛金」
差し引く「買掛金」の金額が減少することから運転資金の金額は増えます。
仮に120日→60日への短縮になれば、平均の月の仕入額の「2か月分」は運転資金がさらに必要になります。
そこで「運転資金の増加分を資金調達する」か「売掛金の回収サイトを短縮する」のが対策になります。
また、運転資金を調達するにしても「長期借入」で調達しても効果は薄くなります。(返済を行っていくため)そこで、資金調達で支払いサイト短縮分を埋めるには「短期転がし資金」が理想形になります。

手形受取業者側の対策→手形発行業者の手形サイトに気を付ける

「60日」を超える手形が「割引不可」になる可能性があり、これまで受取手形を割り引いて資金化していた事業者は割引不可で資金繰りが悪化する可能性があります。
また、「裏書譲渡」にて支払っていた場合、「60日」を超える手形では「受取不可」と言われる可能性もあります。手形発行事業者の対応についても早めにヒアリングしておくことが必要になります。

つまり、受け取り側で受注先の支払手形の対応について早め情報収集が必要で、仕入先や外注先への対応についても検討しておくことが必要です。

このように今回の改正は中業企業の資金繰りに大きな影響を与えます。実施まで半年余りになりますので、手形取引がある先には先手の対応が必要になります。

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