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【銀行融資ブログNO.126】「正常な運転資金」を長期で借りるのは大きな間違いです

2023/06/01

お金を借りる際には「資金使途」を尋ねられますが、一般的には「運転資金」と「設備資金」と大きく二つに分けられます。
設備資金以外は運転資金として借入をしていると思いますが、その際に運転資金を長期借入にて調達するケースを多く見ますが、実はこの借り方は大きな間違いです。なぜ長期で借りるのが間違いなのか?について今回はお話しします。

銀行が考える運転資金の範囲は狭い

「運転資金」の言葉は広い意味で使われておりまずが、「運転資金」の中身も銀行融資審査では細かく区分されています。(多いところでは60種類ほどあります)では「運転資金」の中身を大きく区分してみると以下のようになります。

  • 正常な運転資金→これが運転資金の正確な解釈です
    銀行員が考える「運転資金」とはこのことを指します。「売掛金」+「在庫」-「買掛金」で算出される企業運営上必要な資金のことです。
  • 季節資金
    年間のサイクルの中で仕入が先行する月、大きく売り上げが上がる月など、季節特有の資金サイクルが発生するときに借りる資金です。
  • 赤字補填資金
    赤字が発生してその資金の穴を埋めるための借入です。コロナ特別融資は基本的には「赤字補填資金」に該当します。
  • 納税・賞与資金
    決算申告時、中間納税時における法人税・事業税の支払や、夏・冬の賞与資金の支払のために必要な資金です。

上記を見ると、実際に融資審査における「運転資金」の範囲は狭いことが分かります。ただ、上記の全てを広義の運転資金として借りているのが現実なのです。

なぜ長期で借りてはいけないのか

正常な運転資金(売掛金+在庫―買掛金)はCFで返済するものではなく、常に借りっぱなしになっているのが正しい使い方です。売り上げの変化がなければ、正常な運転資金の必要額も変わらないことから常に会社は運転資金を借りている状態にしておかないと、資金不足になるのです。

融資審査では、正常な運転資金の返済原資は「売掛金」とされており、「CF=営業収益」ではありません。「売掛金」が返済原資ということは、売ったお金で返すことになりますが、売上がある限りは「常に返済し常に借りておく」=「借りっぱなし」にしておくとされいるのです。

銀行はなぜ長期を提案してくるのか

運転資金は「借りっぱなし」=「短期コロガシ」で借りるのがセオリーなのに、なぜ銀行は長期借入を提案してくるのでしょうか?その理由は銀行のエゴが詰まっています。

  • 融資先にリスクがあるので「保証協会」保証をつけたいので長期借入にしたい
  • 手数料収益を得たいので「社債」や「コベナンツ融資」にしたい
  • 長期借入の実行する際に「不動産担保」をとりたい

このような銀行側の事情で「長期借入」になっているのが実態です。

「正常な運転資金」は「短期コロガシ」で借りることを改めて覚えておいてください。

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