最近、地域銀行にて融資先数が増加していることが金融庁から懸念されています。
融資先数が増えること自体は何ら悪い話ではないように思われるかもですが、国内の企業数が減っているのに、なぜ融資先数が増えるのか?そしてその弊害は何か?について今回はお話します。
「貸出先数が増える」とは同一の企業に対して複数の銀行が融資をするケースが増えていることを意味します。その理由は2つの背景があります。ひとつめは「越境融資」と呼ばれる営業活動です。
地元地域内での貸出先が減少または体力が疲弊してきており、貸出先が見つからない
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周辺県へ新店舗を出店
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周辺県企業への貸出を増強
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既に周辺県企業にはライバル銀行がいるものの、同一企業へ複数銀行が貸出をする
また、地元では優良な貸出先との取引は継続しているが、他のライバル銀行も取引参入することで競争はさらに激化することになっている。
結果として銀行の貸出社数は増えることになります。
では金融庁が懸念しているのはどういうことでしょうか?
銀行の貸出先数が増加⇒渉外担当者の担当先数が増加
⇒銀行員の数は減少している⇒貸出先へのケアが疎かになる
⇒企業が必要な時に機動的に動いてくれない
このような悪循環を懸念しているのです。
私が銀行員の時には200社ほどを一人で担当していましたが、目が届く先はせいぜい30社ほどです。そうなるとその他の先は「放置」せざるを得ないのが実態です。
しかし、経営者としては、この状況を見ているだけでは企業存続にかかわる事態になります。
この状況を打開するためには担当者との「アナログ」コミュニケーションがカギになります。
具体的には
このように自ら足を運ぶ「大義」を作ることと、担当者に足を運んでもらう「目的」を作っていくことが大切です。「昭和的なやり方ではないか」と言われるかもですが、担当者や上司との関係構築には「アナログ」が一番の近道だと思います。
銀行も「店舗削減」「人員削減」「デジタル化」が避けられない環境におり、今後益々、関係性の希薄化が進むと考えられます。それを少しでも回避するための「アナログコミュニケーション」を心がけてみましょう。