近年、受取手形の流通量は減少傾向にありますが、まだまだ「手形割引」のニーズは高く、資金繰りのためにも割引を必要とする企業は多くあります。
今回は、皆さん馴染みにがある「手形割引」の銀行での融資審査ではどういった目線で考えているか?についてお話をします。
「手形割引」=「融資」と解釈している方が多いと思いますが、実際には手形割引は銀行と企業との間での「手形の売買」になります。手形という現物を介した「要物契約」とも言います。
割引の際には、手形裏面の裏書欄に銀行が最終欄に裏書を入れて支店調印を押してますが、手形の所有権が銀行に移ったことを示します。
つまり、銀行としては「手形を担保にしてお金を貸す」ことになります。
なお、手形割引は基本的には極度扱いをしますが、その他に下記のような条件の組み合わせがあります。
これは割引依頼をする企業側の財務内容や資金繰り状況に応じて条件の付与は決まってきます。
割引を行った受取手形が「不渡り」になった場合には、依頼人が不渡り手形を買い戻さなければなりません。そのためには手元にキャッシュがあることが必要になります。さきほどの割引の条件に金額等の制限をつけるのは、「買戻し能力」を見ているためでもあります。
では、手元にキャッシュが乏しい企業が不渡りに備えるためのひとつとして「倒産防止共済」があります。掛け金積み立て額の10倍まで借りることが可能です。(上限80,000千円)
金融機関によっては、買戻し能力があることを見る基準として「倒産防止共済に加入」していることを条件にしているケースもあります。(民間の「取引信用保険」に加入しているのもOKだと思います)
「手形割引は審査はすぐにOKになるだろう」と思っている方が多いとは思いますが、ノンバンクではないので一定の時間はかかります。
倒産防止共済は全額損金になることから、「節税」目的で利用されている方もいるとは思いますが、本来の目的である「取引先の事故(受取手形の不渡り)に備える」=「割引の買戻し義務に備える」ことにも繋がるものだということを覚えておいてください。