前回からお話をしております新設された「コロナ借換制度」について、前回は制度概要をお話しさせて頂きましたが、今回は「融資枠増額の意味」と「公庫の借り換え」はどうしたらよいのか?についてお話させて頂きます。
これまでの「コロナ融資」における上限枠は60,000千円でしたが、「借換制度」では100,000千円に上限枠が引き上げになります。(もちろん、どの企業も枠いっぱいに使える訳ではありません)
この上限枠の引き上げが意味するところは下記の2つです。
➀「コロナ融資」+「コロナ以外融資」を同時に「借換制度」に借り換えることが可能
前回もお話ししましたが「借換制度」の対象は「コロナ融資」のみならず「コロナ以外融資」も借換え対象になります。
ただし、仮に「コロナ」+「コロナ以外」を上限枠いっぱいに借り換えたとして返済期間10年据え置き5年にしたとすると100,000千円を据え置き後5年間で返済することになりますので、据え置き期間中は資金繰りは楽になるものの、それ以降は年間20,000千円もの返済負担になることを考えておく必要があります。(先のことは分からないというのであれば、安易な借入よりもリスケを勧めます)
➁「コロナ融資」+「真水」にて借り換え
コロナ融資を上限いっぱい60,000千円借りていたとして、本制度で真水40,000千円を加算した100,000千円で借り換えることも理論上は可能です。
ただ、「真水」の資金を得るのは容易でないと思われますので、前回お話しした「経営行動計画書」の内容の妥当性及び過去3年間の数字の連続性や、コロナ禍での経営努力の過程が問われることを念頭においてください。
とはいえ、かかる状況で「真水」の運転資金(正確には「赤字補填資金」)が必要な企業も多くあると思われますので、➀のコロナ以外の借り換えよりも➁の真水を得る戦略のほうがいいかと思います。
コロナ融資にはこれまでお話しした「民間版(保証協会)と「政府版(公庫・商工中金)」がありますが、公庫のコロナ融資を借りて借換えを考えている方には「スーパー低利融資」にて借り換えることが可能です。
金利はゼロにはなりませんが、融資後3年間では基準金利▲0.9%となり、金利メリットは大きい制度です。この制度を使うことによって返済を実質繰り延べることが可能になります。
また、日本政策金融公庫によるスーパー低利融資については、債務負担が重い事業者(債務償還年数が13年以上)で あれば、売上減少要件を満たしていなくても融資対象となるよう、要件が緩和されます。
本制度は2023年2月1日から運用を開始になります。
民間版+政府版をうまく使うことよって、返済負担の軽減を図り、資金繰りの安定化させる機会になりますので是非ご利用を検討してください。