2023年4月より経営者保証が制限されるお話を前回からしておりますが、3回目の今回は「少しづつ保証金額を下げていくにはどうしたらよいか?」についてお話しします。
まず「保証」の概念には「人的保証」と「物的保証」のふたつがあります。
「人的保証」とは今回のテーマである「経営者保証」のことを指し、経営者本人が借入の保証人になることです。以前は「第3保証人」と言って経営者以外の第三者を保証人を取るケースもありましたが、こちらは2011年から監督指針が改訂され「原則禁止」となっています。
「物的保証」とは「不動産」や「売掛金」「保険」「在庫」などの物的担保のことを指します。
経営者保証を「無保証化」する=「人的保証金額」を「0」にすることになります。つまり、「人的保証金額0」に向けて保証金額を下げていくことが現実的な道だと言えます。
「経営者保証ガイドライン」に関して、金融庁から「経営者保証ガイドライン活用に関わる参考事例集」が公表されています。その事例集の中でポイントとなる事例があります。
〇「運転資金」部分は「無保証」でOK
〇「物的担保」保全部分は「無保証でOK
まず、「運転資金」とは銀行が算出する(売掛金+在庫-買掛金)金額については、短期継続融資(短期コロガシ)で支援を行い、その支援額については会社運営に必ず必要な資金であることから「無担保「「無保証」を基本とするとあります。
ただし、赤字が続いている企業にはこの原則は適用が難しいところもありますので、黒字化は必要条件と考えてください。
次に「保全部分」については「保証不要」についてですが、これは当たり前と言えば当たり前ですが、例えば不動産担保で十分に保全されている借入に対して、さらに「人的保証」をするのはある意味「二重保証」とも言えます。
不動産については「固定資産評価額」でいいので、第1順位から考えて融資を受けている金融機関にどのくらいの取り分があるのかを算出して頂き、保全されている額は「人的保証金額」から減額する交渉をしてください。
経営者保証ガイドライン3原則についてはこれまでお話をしてきましたが、実際に皆さんが「無保証化」になるには、金融機関にとって何がネックになり、どうしたら「無保証化」できるのか?についてきちんと金融機関にお話をされることが何よりも大切です。
〇経営者保証金額を下げる
〇既に差し入れている保証人を解除する
この2つは金融機関が自ら皆さんに歩み寄って話をしてくるものではありません。債務者側からのアクションがない限り事態は改善しないのが実情です。
今般の監督指針改定は、これまでの「保証人」の概念を大きく変えるインパクトがありますので、是非皆さん自らが能動的に動かれることを願ってます。