金融庁は2023年4月から、金融機関の中小企業向け融資で経営者が個人で背負う「経営者保証」を実質的に制限することを、11月1日発表の監督指針改正案にて決定しました。
監督指針とは行政処分につながる手続きを記載するルールブックで、必要があればヒアリングや検査を実施し、手続きに違反があったり貸出先とトラブルが起きれば行政処分の対象となりますので、金融機関にとっては「法律」に近い強制力を受けるイメージです。
金融機関は「経営者保証」の必要性などを具体的に説明しない限り、経営者保証を徴求できないことになります。具体的には融資時に「経営者保証」を求める場合には説明義務を課し、その内容を記録して金融庁に報告することを義務付けます。
今回から3回に分けて、「経営者保証ガイドライン」のまずは基本3原則から、2023年4月からどのような点に念頭に金融機関と交渉を行うべきかについてお話しします。顧問会計事務所の役割が「経営者保証」にも大きく関わってくることになります。
以前からお話ししておりますが、経営者保証ガイドラインには「基本3原則」と言われる充足すべき基準があります。この原則をないがしろにした交渉を行っても「無保証化」はできないと言っておきます。
1.は会社の「モノ」と「カネ」の動きが区分されているかどうかです。具体的には
などがあります。
2.は端的に言えば金融機関の信用格付けが「正常先」であることです。
3.は会社の管理体制及び会計事務所の役割が問われます。
以上が「3原則」になりますが、必ずしも全て満点で充足する必要はありません。ではどういうケースだと「無保証化」の道が切り開けるのかについては次回お話をさせて頂きます。