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【銀行融資ブログNO.113】「預金担保」と「同額融資」に惑わされていませんか?

2022/08/15

皆さんは融資の際の担保に「預金」があるのはご存知だと思います。銀行融資の担保としては「預金」が一番換金性が高く安全な担保になります。
私が銀行員の時代には預金担保と同額の融資を行っているケースがよくありましたが、いまだに地銀・信金を中心に預金担保同額融資が行われているのを目にします。

預金担保融資を行う理由は何にあるのか?そして預金担保融資の提案を受けたらどうすべきかについて今回はお話しさせて頂きます。

「預金担保」と同額の融資を受ける意味はどこあるのか?

たとえば、1,000万円の定期預金があり、その定期預金を担保に1,000万円の融資を受けることを「同額担保融資」と言います。銀行から言えば、ノーリスク融資です。
また、金利については、本来はノーリスク融資なので「金利0%」でもいいとは思いますが、「金利0.5%」程度を取るケースが多くあります。

では、なぜ、こんな融資スキームをやるのでしょうか?

答えは「預金残高を減らすことなく、融資残高を増やす」ためです。

銀行としてみれば、預金残高目標(今のこのご時世で預金残高目標があるところは少ないと思いますが)があり、かつ融資残高目標を達成するために、「預金担保融資」を行えば「一石二鳥」ということです。

債務者である企業にはメリットがあるかと言えば、「メリットは何もない」のが答えです。

本来であれば、定期預金を運転資金に使えばいいものを、定期預金を担保にしたうえで、わざわざ金利を払ってまで資金調達を行っています。
さらに、問題になりえるのが、融資を返済したのにも関わらず、定期預金担保はそのままになっているケースです。

「またいつか借入を行う際に、担保にしておくとすぐに借りれますから、そのまま担保に置いておきましょう」と言われるがままにされている事例もよく見ます。

リスケを行ったら「相殺」をすぐに依頼すること

リスケジュールを実施したが、預金担保はそのままに放置されているケースもよく見かけますが、リスケを行った以上は、原則として新しい融資は出なくなりますので、速やかに預金担保は相殺されることをお勧めします。
正式に担保に取られていれば、その預金は運転資金には使えませんので、支払金利を抑えるためにも、すぐに相殺を依頼してください。(厳密に言えば、相殺をする権利は銀行にあります)

さらには、担保でない「非拘束性定期預金」を運転資金に使わせてくれない(正式な担保ではないが貸出時の稟議書に実質担保としての約束がある)ケースもありますが、担保でない以上は運転資金として使えますので、毅然とした申し出を行ってください。

〇「正式定期担保」は「相殺する」
〇「非拘束性定期」は「運転資金」に使う

当たり前ですが、当たり前の交渉がきちんとできるようにしましょう。

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