最近、経営者自身の自宅を経営する法人にて取得するケースを目にします。償却資産が増えるなどの税務的なメリットもあると思いますが、金融機関からの目線で言えば、「100害あって1利なし」です。
今回は、法人が自宅を取得することで、金融機関取引にどのような影響があるのか?についてお話をさせて頂きます。
「自宅」を取得するには、居住する本人が「個人」にて住宅ローンを組むのが一般的です。(相続や贈与等で取得するケースもありますが)さらに、住宅ローンの返済原資は本人の「給与収入」になります。
経営者自身の自宅を経営する法人にて取得する場合(社宅扱い)は、法人のキャッシュにて取得するケースもあり、場合によっては金融機関の融資にて取得する場合もあります。
その場合、返済原資は「経営者が支払う家賃+法人のキャッシュフロー」のふたつになります。(経営者の家賃設定は税務的な見解のもとで行う必要があります)
上述のとおり「個人」での取得と「法人」での取得の場合での「返済原資」の明確な違いは「法人のキャッシュフロー」の有無になります。
つまり、財務分析的な見地でいえば、「法人のキャッシュフロー」を損うことになります。
では、金融機関はこのケースに対してどう思うでしょうか?
私のクライアントで「社宅」として法人が取得し、金融機関の融資も受けられたのは以下のケースです。
私のスタンスとしては「法人」での「自宅取得」はお勧めしておりません。特に本業にて金融機関の融資が必要な法人ではなおさらですが、主に以下の理由からです。
なかでも「経営者保証ガイドライン」では「無保証人」にするための要件である「法人と個人の資産の明確な区分・分離」が規定されており、この規定をクリアできないと「無保証人」のステージにいけないことになります。
経営者自身の自宅を「法人」「個人」のどちらで取得するかはメリット・デメリットをよくよく検討したうえで判断をしてください。