運転資金の調達方法として「当座貸越」は自社の評価が高い証拠であります。しかし、コロナ禍で売上が減少していると必要な運転資金の金額は下がってきます。
コロナ前から当座貸越を利用している企業で、売上減少を理由に、極度額の見直しを銀行から言われている企業も多くなってきており、その際の対象方法について今回はお話しさせて頂きます。
運転資金は「売掛金(受取手形)」+「在庫」-「買掛金(支払手形)」にて算出されます。
コロナ禍で売上金額が減少していると、「売掛金」「在庫」の金額は下がることになり、必要な運転資金の額も下がることになります。
そうなると、銀行としても支援する運転資金の金額はコロナ前より、減額させることになるのは皆さんもわかると思います。
ただし、コロナ前より資金繰りは忙しくなっている企業も多くいるはずです。昨年の「コロナ特別融資」では、多くの会社が融資を受けましたが、この借り入れは広義では「運転資金」ですが、銀行融資の考え方では「赤字補填資金」に該当します。
つまり、コロナ禍で売上が減少しているが、当面企業の資金繰りを回すために、赤字部分を埋めるべくの資金を提供したことになります。
そこで、現状において、銀行が考える運転資金の額はいくらなのか?を自社が把握しておくことが必要になります。
現在の、試算表や決算書上でも構いませんので、「売掛金」+「在庫」-「買掛金」の金額を計算してみましょう。
例えば、コロナ前の「運転資金」の金額が100百万円の企業があったとします。現在の売上はコロナ前の30%減の状態だとすると、現在の「運転資金」は70百万円になります。(売掛・在庫ともに30%減として)
コロナ前の運転資金100百万円を当座貸越にて借りており、極度額の見直しにより70百万円に減額された場合、差額の30百万円については
➀30百万円は一括返済
➁30百万円を長期分割返済に切り替える
この2つの方法しかありません。原則は➀になりますが、➁が出来るかどうかはその企業の財務内容次第になります。
しかし、➁の場合、プロパーで対応してくればいいですが、保証協会付しかダメな場合、昨年のコロナ融資で別枠対応とはいえ、保証枠をかなり利用していることから、保証協会の保証が下りないケースも考えられます。
➀及び➁でも対応が出来ない場合は、リスケジュールの手段をとるしかないです。
当座貸越の減額を銀行から言われた場合、資金繰りを大幅に見直す必要があることから、早め早めの対応をしておくことが必要です。