金融庁は12月に「金融検査マニュアル」を廃止すると公表しました。今年度中には廃止すると以前から言っておりましたが、ようやくといった感じです。
ドラマ「半沢直樹」で金融庁検査の生々しい舞台が描かれておりましたが、そういった緊迫したやり取りは今はもうありません。
では、検査マニュアル廃止により、金融機関や企業にはどういった影響が出てくるのか?について今回はお話しさせて頂きます。
一番変わる点は銀行の「貸出金」に対する「引当金」の計上方法が変わります。わかりやすく言えば「銀行の考え方で自由に引当金が計上できる」ようになります。
これまでの「引当金」の計上方法は
どちらかと言えば「過去」の視点に重きを置いて引当金を計上しているのが今までのパターンです。
今後は
これまでの「過去」の視点と「事業や地域の特性」「将来性」の観点も引き当ての要素に加わってきます。
このような説明だとまだまだ「抽象的」な表現でわかりづらいと思います。
私もはっきりとは掴み切れませんが、確かに言えるのは「地域経済」「事業の将来予測」には個別の銀行の「意思」が反映されることから引当金の計上の方法がこれまでの「横並び」ではなくなることです。
将来リスクの反映は最終的に、「監査法人」の判断になってきますが、より銀行の意思が問われてくることは間違いありません。
このような説明だとまだまだ「抽象的」な表現でわかりづらいと思います。
引当金のコストは債務者たる企業の借入金利に転嫁されます。専門用語でいえば「※クレジットコスト」に反映されます。
※クレジットコスト 企業の信用度に応じて加算されるコストのことを言います。
そうなると、同じ企業でも個別の銀行の考え方によって提示される金利の差が大きくなることが予想されます。また外部環境に左右されやすい事業だと将来のリスクを金利に転嫁されることも予想されます。
まだまだ現時点では不確定な話も多いですが、今後金利動向にも目を向けておく必要があります。