事業承継時の個人保証「二重取り」が禁止になります。
事業承継時に先代経営者・後継経営者の「二重保証」が問題になっていると、9月15日付のブログでもお話ししておりましたが、新たな動きが出ました。
全国銀行協会(全銀協)と日本商工会議所(日商)は中小企業が事業を承継する際に、融資している金融機関が先代と後継者の双方の経営者から個人保証をとることを原則禁止する指針を年内に策定すると発表しました。
全銀協と日商は2013年に経営者保証に依存しない融資の促進などに向けた指針である「経営者保証ガイドライン」を公表しました。
今回は、その指針に特則を設けて新旧経営者の両方から個人保証を取ることを原則禁止にする内容に改める方針です。
あくまで、「ガイドライン」であり「法律ではない」こと、そして「※原則」と謡われていることから、二重取りは全て禁止!までは言っておりませんが、金融機関に向けては一定のけん制になると思われます。
※例外的に双方への個人保証が必要な場合についても制限的に事例を列挙し、金融機関が都合のよい拡大解釈を無くすようする予定
しかし、経営者保証ガイドラインがあるとはいえ、保証を無しにすることは、金融機関から新設に「保証なしにしましょう!」と提案がくるものではありません。
債務者側(企業側)から銀行に対して、「無保証人にてお願いしたい」と申し出をしなければいけないことをよく覚えていてください。
そもそもの話に戻ると中小企業の融資に対して「個人保証」の意味とはいったい何だろうと考えてしまう方も多いと思います。
実際に企業が破産した場合に、経営者個人が連帯して債務を負担するとはいえ、破産のほとんどは経営者個人も破産してしまいます。多額の個人資産があり、企業の負債を返済できる余力のある経営者はほとんどいないということです。
金融機関側としての言い分は「経営者への規律のため」とよく言われますが、果たして債務保証が規律に繋がるものかは疑問です。もちろん、安易に会社への借入を増やし、無責任な経営をしてしまうことはご法度だと思いますが、多くの経営者は「会社と個人は一蓮托生」の思いでしょう。
しかし、経営者個人の人生を考えるときに、会社の借金で第2の人生の道を塞がれてしまうことは不幸なことです。
連帯保証に依存せず、経営者の資質やビジネスモデルの源泉を見極める目利き力こそが金融機関に求められてくる時代に早くなって欲しいものです。