マイナス金利導入以来、企業の調達金利はかなり低い水準になっております。
銀行経営にもボディーブローのように収益が圧迫されてきております。
また、地方銀行は都心に融資先を求めて、メガバンク以上の金利を提示して攻勢をかけてきている状況です。
このような状況下で、単に「金利が安い」だけで銀行取引を考えていいものか?と私は感じております。
今回は「金利だけで判断するのは危ない」をテーマに2回に分けてお話をさせて頂きます。
皆さんは貸出金利がどういった考え方で決められているかご存知ですか?
金利には以下の4つの要素で決められています。
なぜ、大手メガバンクと信金信組の金利が違うのか? 基本的に大きく違うのは➀の「調達コスト」になります。貸し出す原資となる「お金」を仕入れる最大のツールはもちろん「預金」になります。
大手銀行は、「預金」以外にマーケットや銀行間の貸し借りにて「お金」を仕入れることができるので、調達コストが安くできます。
一方、信金信組においては、「預金」を集めることが主となっていることから、調達コストが大手よりも高くなるのです。
つまり、信金信組の金利が高いのは、当然なことのです。
次に➂の信用コストですが、これは企業の信用力によって左右されるものですので、財務内容が良ければ金利は低くなり、悪ければ、金利は高くなります。
これは、各銀行の過去の「貸倒率」から算出されます。現在は「倒産水準」がかなり低くなっていることから、信用コストも低いレベルになっています。
さきほど、➂の「信用コスト」のお話の中で、「保証協会付融資」や「不動産や動産担保」があった場合のコストはどうなるでしょうか?
皆さん、お分かりだと思いますが、「保全」がついた融資であれば、企業の財務内容に関わらず、信用コストは「0」に近くなります。(保全率が100だと仮定した場合)
そうすると、同じ企業に対して、保証協会融資の提案が来た時に(金額と期間も同じ)
A銀行は 1.5%
B銀行は 2.0%
の提案が来た時には、A銀行とB銀行の違いは、さきほどの金利構成要素のなかで➀と➃の違いと考えられます。銀行の規模が同じくらいだとしたら、違いは➃の「利ざや=担当者が上乗せしている金利」が違うことと言えます。
この場合は、担当者の「本気度」が出ますので、当然A銀行の低い金利を選ぶべきです。
このように金利にはきちんと根拠があって提示されていると認識してもらえればと思います。
次回は、「金利だけで銀行を選ぶ落とし穴」についてお話しします。