企業の設備投資意欲が盛んになってきております。
業容拡大や業務効率化を目的とした設備投資を行う企業が増えてきていると思いますが、中小企業の設備投資での資金調達方法は特に気を付けなければなりません。
今回は「設備資金」のチェックポイントについてお話をさせて頂きます。
設備投資を行うことで、売上や利益を増やしていくことは当然だと思います。
しかし、当初の利益計画が崩壊し返済に窮してしまっている企業を非常に多く見かけます。
特に設備資金は通常の運転資金の借入よりも「期間が長い」特徴があり、当初の経済環境も変わるリスクもあるので、慎重な検討が必要です。
よくあるケースでは、設備資金を借りることだけに目がいってしまい、銀行から言われるままの返済期間で妥協し、その返済に合わせた利益及び返済計画を作っていることです。
設備資金で一番大切なのは、保守的な利益計画でも返済が可能なプランを立てること、そして身の丈にあっている設備投資なのかを冷静に判断することです。
具体的に言えば、経営者の頭の中にある「利益計画の80%掛け」分で返済ができるのかどうかを基準値としてみることをお勧めします。
設備資金を借りた場合の「返済原資」は
「税引き後利益」+「減価償却費」が基本です。
利益計画は「80%掛け」に見ることは上記でお話しましたが、次にポイントになるのは「償却期間」と「返済年数」の一致です。
たとえば、「10,000千円の設備償却年数が10年」の設備を導入する際に、「返済期間が5年」で借り入れをしたと仮定します。(自己資金は0とします)
1年の減価償却費 1,000千円 (単純に年数で割っています)
1年の返済額 2,000千円
差引 ▲1,000千円
となります。
この差額分を上乗せした利益で賄えればいいのですが、そう上手くいかないケースも多々あります。また上乗せの利益は「税引き後利益」になりますので、税引き前の利益で考えれば、実効税率を30%と考えても1,400千円の利益を確保しなければなりません。
つまり、差引分の資金を考える場合には「税金の社外流出分」を常に意識する必要があります。
では、「償却年数」=「返済年数」の場合はどうでしょうか?
1年の減価償却費 1,000千円
1年の返済額 1,000千円
差引 0円
となります。こうなると、返済原資は「減価償却費」で賄えることから、利益が計画通りにいかなくても返済は可能なレベルです。
あとは、20年の長期借入を銀行が認めてくれるかどうかがポイントになりますが、まずは、貴社の考え方をきちんと銀行に伝えることが大切です。
償却年数と返済期間を一致させる方法については、また次の機会にお話させて頂きます。