先日、金融庁は、これまでの金融検査のあり方を大きく変え、来年7月ごろをめどに「金融検査マニュアル」の廃止を公表しました。
ドラマ「半沢直樹」の「金融庁検査」のような圧力的な検査から、「銀行を支援する」検査に改めると言われています。
この背景には、不良債権比率は安全な水準にはなったものの、マイナス金利環境下で、本業の貸し出し利回りがかつてない低水準で推移し、これからの銀行のビジネスモデルが問われていることから、きちんと貸出先の事業を見極め、リスクをとるように指導していくことがあります。
話を戻しますが、過去の「圧力的検査の根源」にあったのは「金融検査マニュアル」です。このマニュアルを廃止し、これからの銀行融資はどう変わろうとしているかについて、今回はお話をさせて頂きます。
これまでの「検査マニュアル」に従った査定方式は、貸出企業の財務内容を大きな拠り所とし、実質の自己資本の額で企業を格付けするやり方で、貸出先を査定しました。(現在もその流れにはありますが)
ただし、財務内容に難はあったとしても、目に見えない企業の実力を正当に評価し、企業の将来価値をもっと評価してあげようとする動きがここ最近活発になってきております。
それが、今金融業界で言われております「事業性評価制度」と言われるものです。
「事業性評価制度」とは非常に抽象的なものですが
たとえば
などを文字や数字で具現化させて第三者に分かるように説明できるものを指します。
これは、決算書では表現できないものであり、企業自らが自社の強みや弱みを積極的に開示していく姿勢が必要になります。
「事業性評価制度」については、また別の機会にお話をさせて頂きます。
金融検査マニュアルに基づく、財務内容に特化した査定は、時間軸でいうと「過去」の数字の査定と言えます。
一方、検査マニュアルなき時代の銀行融資はいかに企業の「将来性」「経営の方向性」を見出せるかが大きなポイントとなります。
では、時間軸が「将来」とする企業の姿を表現できる資料はなにがあるでしょうか?
この二つしかありません。
つまり、これからの銀行融資には「事業計画書」「資金繰り表」は必須になってくると言っても過言ではありません。
うちは「決算書」「試算表」だけで融資は下りるから問題ないよ!
と考えている経営者は、これからの時代の流れに取り残されるかもしれません。
これからの銀行融資は「将来の時間軸が問われる!」
このことをよく今から認識してくださいね。
「事業計画書」「資金繰り表」の作成方法や管理方法について、分からない方は顧問税理士や弊社に是非お問合せ下さい。