弊社のクライアント企業で、都内の某地銀からのプロパー融資を他行に肩代わりしてもらう際に、「繰り上げ返済手数料」をお支払いくださいとの話になりました。プロパー融資に繰り上げ返済テス了って存在するのか? 皆さん、疑問に思われる方がほとんどだと思います。
今回は「契約書の中身は借入時に確認しておくことは大切である」ことについてお話をさせて頂きます。
住宅ローンでの繰り上げ返済手数料は、皆さんも耳にされたことがあると思います。(今は繰り上げ返済手数料がないものも多数出ております)
プロパー融資での繰り上げ返済手数料は、固定金利における違約金以外に存在することは、元銀行員の私でも実は知りませんでした。私が勤めていた銀行では、このような手数料は存在しておりませんし、このコンサルティングの仕事を10年経験しておりますが、その中でも目にしたことがないものでした。(なお、本ケースでの借り入れの金利は変動金利でした)
このケースでは「金銭消費貸借契約証書」のなかに長期借入の繰り上げ返済について「残存期間1年以上」のものについては「残高の2%(税別)」の繰り上げ返済手数料を請求するとの文言が加筆されておりました。
その意味するところは、他行(特に都市銀行)からの肩代わりを防止するために10年以上前からこの文言が加筆されたようです。
「肩代わりの防止」のために、かつ抑止力として、このような手数料を設定するのは、かなり違和感を覚えますし、「優越的地位の乱用」ともとれるものかもしれません。
銀行取引において、どの銀行とどのような取引をするのは、あくまで顧客が志向することです。金利等で銀行に実損失が発生するケースならまだしも、融資を繰り上げ返済することを止める権利は、銀行にはないはずです。
また、これは他のクライアントかつ他の金融機関であったケースですが、大型の長期融資契約を行った際に「当初借入から5年間は他行への借り換えは行わないもの」とするコベナンツ条項(財務制限条項)を入れているケースも実際にありました。
さきほどの「繰り上げ返済手数料」と意味するところは同じだと思います。
このように、金銭消費貸借契約証書には、一般的な文言だけでなく、個別事案による「特殊条項」が加筆されているケースもあるのです。
皆様におかれましては、借入時には契約書の中身によく目を通して頂き、不明な文言等についてはすぐに金融機関に確認を取ることを改めてお願いします。