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【銀行融資ブログNO.29】マイナス金利環境下で、こんな融資商品が出ている

2016/10/03

マイナス金利に突入して、はや半年が経過しましたが、金融機関の貸し出し利回りは0.9%を切る水準まで下がってきております。正常先に対して、もはや貸し出し利回りを確保しながら、貸出を増やす状況ではなくなってきております。とはいえ、金融機関も収益を上げなければならず、あの手この手で収益獲得の知恵を絞ってきております。今回はクライアントにあった融資提案のひとつをご紹介させて頂きます。

コミットメントラインの長期型

弊社のクライアントでは運転資金の調達をこれまで、年2回に分けて行っていましたが、業績及び資金繰りが安定してきたことから、年1回にすることを決めました。取引している5行の銀行からシェア割りで調達しており、これまでは5年の固定金利での調達を基本形としておりました。

当社のメインバンクである某メガバンクから、今回の年度資金調達のために下記のような提案を行ってきました。

『融資実行時期を本年8月末~来年3月末までの期間を与えます。融資については、事前に約束した金額の範囲内でいくらいつ借り入れるのも貴社の判断に任せます。』

と言った内容です。一見コミットメントラインに近い形になりますが、コミットメントラインは短期の融資に使われますが、今回は5年の長期(タームローン)になりますので、「コミットメントラインの長期版」といった形です。

貸出金利はこんなに低いのには理由があった

今回の貸出金利の提示は「5年固定で0.25%」というかなりの低金利になっております。この低金利の提示には、理由がありました。それは、「融資組成の手数料を先取りしよう」とする目論見があったのです。

提案書を見てみると、以下のふたつの手数料の表示がありました。

  1. ファシリティーフィー
    融資実行の期間を「半年間」許容する代わりに、その時間の対価として手数料を支払ってくださいというものです。
  2. ストラクチャリング手数料
    このような融資商品を組成する手間代を手数料として支払ってくださいというものです。

このふたつの手数料の負担を加味した(オールインコスト)での実質金利は0.6%になります。0.6%でも十分低い金利になりますが、ここまでの提案をしてくるもの、やはりマイナス金利と関係があるのです。

収益獲得のためには手段を選ばなくなってきているのか?

本来であれば、5年の融資で利息収入を稼ぐべきなのが融資の王道なのですが、このマイナス金利環境で利回りが低下してしまい、手数料収益で稼ぐしかなくなってきている状況なのです。ただし、この提案は本来5年の収益を先食いしてしまうことになります。

1年目は手数料収益があるものの、2年目以降は0.25%の稼ぎしかないのです。このような融資を一度やってしまうと、2年目の年度資金も同じ組成融資をやらざるを得ない可能性があります。

金融機関においても9月末の半期決算に向けて、手段を選ばなくなってきているなというのが、この提案の印象です。

皆様におかれましても、過去に見たことない融資商品の提案が来る可能性があります。もし、この提案の意味が分からないなと言ったお悩みがありましたら、弊社にご遠慮なくご相談ください

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