マイナス金利時代に突入して、会社の資金調達のコスト(金利)も低下してきております。国内銀行のおける0.25%以下の貸し出しが増加しているニュースも目にするようになってきました。(これは住宅ローンの借り換えが進んできている事情もあります)
中小企業の資金調達コストも、低下傾向にあり、皆さんの借入金利も以前よりは低い金利を提示されることが増えてきているのではないでしょうか?
今回は、資金調達のなかでも、日々の調達に関係する「手形割引」の金利についてお話させて頂きます。
皆さんもご存じのとおり、割引は売上回収で受け取った手形を期日前に金融機関から現金化してもらうことです。法律上では「手形の売買」とされますが、金融機関では「融資」の位置づけとなっております。また、割引は「手形を担保として差し出す」ことになるので、融資では「有担保」の融資になります。
一般的に融資の担保というと、不動産や預金がありますが、割引の手形が実は担保になっていることを気づいている方は意外に少ないというのが私の実感です。
金融機関は決算時に貸出金額の債務者区分(信用格付)に応じた引当金を積みます。将来の貸し倒れに備えるものですが、当然信用力が高くなる(格付けが上がる)ことになれば、引当金額も少なくなります。 また、担保があれば、担保価値分の回収は可能であると考え、担保価値分の貸し出しに対して引き当ては積まないことになります。
割引については「有担保」融資であることから、よっぽど手形銘柄に問題がなければ(問題がある銘柄であれば、そもそも割引をしないと思いますが)、「引き当てコストがほとんどない」=「割引金利は低くて当然」との考え方ができます。
割引は通常の借入と比べて、手形回収の多い企業であれば、毎月のように資金調達の手段として活用しているはずです。そうなると、割引の金利も低ければ低いほど、会社のコストも下がります。複数の金融機関と割引の取引をしている場合には、金融機関同士で金利を競わせることもいいでしょう。金融機関もマイナス金利時代のなかで、貸出を増やすために割引の残高を多く確保しておきたい事情もあるでしょうから、まさに今が「チャンス」と言えます。
「割引で金利交渉は面倒だよ」とおっしゃる経営者もいますが、金利も立派な「コスト」になりますから、固定費の削減よりもいち早く効果が出る「コスト削減策」と頭を切り替えて、金融機関の担当者と是非お話をしてみてください。