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【銀行融資ブログNO.8】借入している銀行から定期預金を作ってほしいと言われたが、意図は何か(その2)

2015/02/03

前回から「銀行が定期預金作成をお願いする意図は?」をテーマにお話しておりますが、今回は「要請を回避する手段はあるのか」「解約はスムーズにできるのか」についてお話しします。

回避する手段はあるのか

回避する手段としては、要請される理由にもよりますが、「信用力の低下」以外の理由であれば、断るか、もしくは「普通預金の残高を引き上げる」ことで要請を回避することができるはずです。
あくまで、銀行の決算やノルマ等の理由であれば、無理して作成する必要もありませんし、断ったとしても、今後の融資取引に大きな影響が出るものでもありません。
しかし、口座の入金や出金の取引がほとんどない場合には、次の追加融資を検討する際に、「企業との取引実績が弱い」との理由で、前向きに審査をしてもらえないケースもあります。その場合には「普通預金の残高を引き上げる」必要があります。その場合の残高とは「平均残高」で銀行は見ております。つまり、普通預金の残高を引き上げると言っても、一日だけ残高を多めにしても、効果はほとんどありません。

もし、資金繰りに少し余裕があるのであれば、その銀行の口座に残高を入れておいて、「平均残高」を引き上げることにつなげるのです。もちろん、支払い等に使いたいときは支払いに充ててもらっても構いませんが、残高の管理をするのがやや手間と言えば手間になります。
そうなると、「定期預金」のほうが楽だと思う方も多いでしょう。あくまで、資金繰りとの兼ね合いで余裕が相当ある企業であれば、「定期預金」でも構わないと思いますが、いざ、解約して資金繰りに充てたい時に、スムーズにいかないケースもあります。

月末にダメならいつなら返済できるのかの答えをもっているのか

今回のケースは「工事代金の入金が遅れたのはやむを得ないにしても、まだその入金がいつになるのかの答えが出ていない」とのことでした。そもそもその交渉が元請とも出来ていないのが、かなり問題だと思いますし、その旨を銀行に伝えても困るだけです。
銀行としても、リスケジュールをしないといけないのか? それとも、今回の延滞はあくまで一過性のものなのかを判断しなければなりませんが、さきほどの状況ではどちらとも判断ができない状況です。
銀行では延滞が翌月に超えたものには「延滞月報」たる書類に延滞の理由やいつ解消できるかのコメントを入れなければなりません。

つまり、銀行に説明するには「何が原因でいつ延滞が解消されるのか、それともリスケジュールをせざるを得ない状況なのか」を説明する必要があります。

解約する時はスムーズにできるのか

定期預金を作成しても、「あくまで「担保」でなければ、いかに満期前であったとしても、預ける側のタイミングで資金が使える」と考えるのが普通です。
しかし、企業側の状況、特に業績が悪化局面にあり、信用力が低下している時には、解約がスムーズにいかないケースが良くあります。窓口に解約の申し出に行ったとしても、担当者に回され、「なぜ、資金が必要ですか?」「試算表をもってきてくれませんか?」「資金繰りはどうなっていますか?」などの質問攻めにあう可能性があります。
また、某地銀での経験では担保でもないのに「満期までは解約できません」「満期までは解約の権利は銀行にあります」など説明を受けたケースもあります。
つまり、解約時がスムーズにいくかいかないかは、企業側の状況によるということであり、「資金繰り上、解約したい場合」=「資金繰り上必要なケース」=「業績が下方局面にある」ということになれば、スムーズには行きにくい結論に至ります。

しかし、あくまで担保でなければ、自己資金として使う権利があります。それを説明するには「資金繰り表」が一番効果的です。なぜ、今解約資金が必要なのか?そして、既存の借入の返済は大丈夫なのか?を説明すれば、納得して頂けると思います。

取引銀行とのお付き合いや、今後の取引や融資の発展等、もろもろ考える要素はありますが、銀行側の要請理由をきちんと聞いたうえで、判断して頂くことが大切になります。

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