融資取引のある銀行から「定期預金を作成してほしい」と言われたことはありませんか?
クライアントからの質問でも多い話ですが、これには銀行の事情や、融資先の取引状況など様々な事情や背景からお願いをされるものです。今回は、このテーマについて、どのような意図があるのかをお話してみます。
定期預金を作成して欲しいと言われるには、銀行側の理由と、債務者である企業側の理由のふたつの側面があります。分かりやすいように、ふたつの視点からそれぞれの話をしてみます。
本来は企業との融資取引では「売上入金」や「買掛支払」の機能も返済口座にセットしているのが望ましいですが、それが物理的に難しい場合に、「流動資金」の代わりに「固定預金」を置くことで、次の稟議が書きやすくなるという理由です。これは、銀行側の事情といってもいいかもしれませんが、きっかけは企業と銀行の取引(融資以外の取引)がついてきていないのが理由にあります。
次に、企業側の信用力の低下があります。この場合には担保にとるケースと、前述のように担保にはとらないケースのふたつがあります。担保にとるケースでは、はっきりと企業側の「信用力の低下=財務内容の悪化」のサインと言えます。担保に取らないケースだとしても、信用力の低下に起因するものであれば、後述しますが解約時にスムーズに解約ができないなどのデメリットが出てきます。
それでは、なぜ、「定期預金」をお願いするのでしょうか? それは、「期日」があることと、「解約時」には、窓口で必ずわかるのが理由にあります。普通預金にはいっている流動資金であれば、出し入れは自由ですし、その動きは後日にしか分かりません。
しかし、定期預金であれば、窓口で解約することが多く、解約のタイミングが把握できるのが理由にあります。また、定期には「満期日」が設定されており、期日まであれば、窓口で解約が分かりますし、満期だとしてもスケジュール管理ができるのが銀行側の理由にあります。
次回は、「銀行からの要請を回避する手段はあるのか?」「担保ではない定期預金の解約はスムーズにできるのか?」についてお話しします。