クライアントからの質問で多いのが「私の会社はどの銀行やどの支店と取引をしたら良いでしょうか?」があります。
銀行選びのポイントは、会社の規模や成長のステージによって考えるのかが基本的な考え方です。つまり、その答えはまず自身の会社のステージがどこにあるのかを冷静に見極めることです。
会社の成長度合いを3区分に分けて、解説します。
創業をする際には、会社の口座を新規開設し、場合によっては創業の資金を融資してもらうことが必要になります。会社規模もまだ大きくないことから地元の信金、信組をメインに考えることをお勧めします。融資機能で考えると当然ながら「日本政策金融公庫」は外せません。このステージでは、マメに足を運んでくれて、親身に相談に乗ってくれる金融機関こそが必要な時期のはずです。
このステージになると、保証協会付の融資だけではなく、プロパー借入が徐々に必要になります。そうなると、地元の地銀が登場するステージになります。ただ、地銀との取引を開始するに当たっては、その地銀と既に取引のあるビジネス仲間や税理士からの紹介があるほうが良いでしょう。
金融機関は一元のお客さんに対しては、猜疑心をもって接してくるのが普通ですので、その点を少しでも和らげるために「紹介」を利用してください。地銀とのメリットはやはり地元の情報が多くもらえること、そして信金、信組よりは大きな融資金額が望めることにあります。そして、意識的に「プロパー」借り入れを導入できるような交渉を行っていくことが必要になります。
年商規模が10億近辺になると、借入規模も億単位が必要になるはずです。こうなると、大きな貸出金額が可能になるメガバンクが必要になります。 メガバンクとの取引のきっかけを作るには色々な手段がありますが、2でもお話したように「紹介」が有効だと思います。また、メガバンクになると前述した支店ごとの「決裁金額」に差が出てきますので、どの銀行も大事ですが、どの支店とのお付き合いをするかも考えたほうがいいでしょう。
会社を設立する際に、対外的な見栄から、口座は「メガバンクの都心店舗がいい」と考えられる経営者もいまだに多く見られます。ただ、メガバンクの都心店舗では、特に創業ステージの会社に対するケアはほとんどなく、担当者も若手しかつけてくれません。それよりも、自身の会社の動きをきちんと見てくれる担当者をつけてくれる金融機関はどこかを考えるべきでしょう。銀行マンも「人」ですから、能力の個人的な差は当然あります。ただ、経営者から見ると、経営の方向性を「銀行員の能力」で振り回されてしまっては大変なことになります。
金融機関への融資には、まずは財務内容及び今後の成長ビジョンが必要になりますが、その次にどの銀行、どの支店との取引がいいのかの観点も必要になりますので、皆さんの会社のステージを客観的に見たうえで選んでみてください。