前回のお話の続きになりますが、メインA銀行の暴走により、B銀行以下の他行から返済額の不満が続出し、ついには「バンクミーティングを開いて決着するべし!」となってしまいました。
この状況に対して、クライアントから相談を受けた私は以下の作戦を取ることにしました。
全ての不満をクライアントに集中されては、銀行交渉に不得意な社長も滅入ってしまいます。
そこでB銀行以下の担当者には全てA銀行の担当者に直接連絡をしてもらい、売却後の返済額を変更しなかった理由について説明をしてもらう作戦にしたのです。
数日後、A銀行の担当者から連絡がありました。
「他の銀行と話をした結果、A銀行の返済額は100千円に変更することにします」
と結果として、A銀行が折れる形で決着となったのです。
もちろん、バンクミーティングも回避され、こちらも全体の返済額を上がってしまってキャッシュフローが悪化してしまう事態もなくなったのです。
A銀行の担当者は、もちろん「残高プロラタ」のルールは知っていたと思いますが、回収を早めたいのと、売却のどさくさに紛らせれば、他行は何も言わないだろうと軽く考えていたのだと思います。
もし、A銀行の主張を尊重するとなると、「残高プロラタ」ではなく「信用プロラタ」にて当初から返済をしていないといけません。
つまり
あくまで「無担保・信用」のみで借りている額にて按分していたのであれば、不動産売却後も返済額は変わらない理屈になります。
ただし、今回は当初から「残高プロラタ」を基本としておりましたので、売却後も「残高按分」に徹するのがルールとなるのです。
▽銀行の言うことが全て正しいとは限らないので、債務者側もきちんと理屈を知っておくこと
今回のゴタゴタの教訓として
とクライアントの経営者は言っておりました。
このように、「知っている」と「知らない」とでは、大きな差が出てきます。
きちんとした専門家を身近に置いておくことは企業防衛のためにも大切なことなのです。