複数の銀行と融資取引をしている企業がリスケを申し出すると、銀行からの多様な要求や条件を提示され、なかなかまとめ切れないケースをよく目にします。
今回は、ここ最近で、私のクライアントで実際にあったケースを挙げて、リスケ時の銀行交渉のポイントについてお話をさせて頂きます。
リスケを申し出された企業に対して、銀行は企業の格付けを「臨時見直し」を行い、これまで「正常先」だった格付けを引き下げる検討します。
格付けが下がれば、「引当金」が増えることになり、銀行としては「コストが上がる」結果となることから、少しでもコストを減らすために、下記のような要求をしてきます。
「うちの銀行にも同価値の担保を入れてほしい」
「不動産がなければ、社長個人の預金や不動産を差し出すべき」
など、収拾がつかない事態になってしまいます。
この場合には、「そちらの銀行だけに追加担保を入れてしまうことは、他行への説明がつかない」と毅然とした態度で対応することをお勧めします。
複数の銀行の要求もバラバラで、どうしたらよいか分からない事態におちいった時には、まずは残高が一番多いメイン行の交渉をまとめるのが最優先になります。
メイン行の定義は諸説ありますが、私は、単なる残高が多いだけではなく、「プロパー融資」の残高が一番多い銀行がメイン銀行の位置づけではと考えております。
残高がいかに多くても「保証協会保証付き」の借入だけであれば、銀行のリスクは20%の責任共有分しかありません。(特別保証100%枠があるケースもあります)
つまり、プロパー残高が一番多い銀行こそリスクが一番大きいことから、プロパーメイン行との交渉を最優先でまとめることが、他行の要求を封じる近道になります。
「うちの銀行は返済額0では納得いかない」
「不動産担保がなければ、本社の入居保証金を担保に出してほしい」
「うちの銀行はリスケそのものに納得いかない」
などの多種多様な要求が出てきますが、(これも銀行によってクセがあります)メイン行を味方につけてこちらとの折り合いをきちんとつけることで、要求を全て跳ね除けられます。
銀行が言う全ての要求に惑わされることなく、「全行平等」の原則をきちんと貫くことがリスケを成功に導く王道になります。