近年、銀行が収益を狙うために、「ノーマル(普通融資)」に貸す融資より、「スキーム(仕組み融資)」融資の提案が増えております。私もクライアントや提携している会計事務所から融資提案書を見て欲しいと言われるケースのほとんどが「スキーム」融資です。
銀行も稼ぐために「手を変え品を変え」色んな提案を行っておりますが、今回は様々なスキームをワンセットにした提案を見る機会がありましたので、その商品のお話をさせて頂きます。
皆さんは「シンジケートローン」はご存知でしょうか?「シンジケートローン」とは取引銀行数が多く(5行以上)かつ新規の銀行を新たに参加させたい場合に利用するスキームです。
メイン銀行が「幹事」となり、融資の諸条件を決定し、融資条件のレターを作成し、他行との条件折衝や新しい銀行を探す手間(オファー)を一手に引き受けます。
幹事銀行はその手間賃として「アレンジャーフィー」を顧客からもらいます。
今回目にした提案書では銀行数が「3行」しかなく、かつ新しい銀行を探すことなく、既存3行に対して融資の取りまとめを行うだけで「アレンジャーフィー」を要求する内容でした。
その手間(手間がかかるとは思えない)だけに〇百万円を払う必要がありますでしょうか?
コミットメントラインとは当座貸越のプロ版のようなイメージです。通常は上場企業のように1,000百万円以上の資金調達枠を確保したい場合に使われます。極度枠内で借入すれば利息がかかり、まったく使っていなくても「枠を確保するための保険料」を払います。企業側からすれば「もしもの時に資金が確保できる安心料」のような感じです。
このコミットメントラインを最近では中小企業にも広げてきております。極度枠を使っていなくても「手数料」を取るケースが散見されます。
今回の「100百万円の少額当座貸越」で手数料を払わせるのって本当に必要でしょうか?
今回の提案はさらに
〇融資期間中に銀行との企業の間でコベナンツ(約束事)を結ぶことで約束が履行されている間は低い金利でOKとするが、コベナンツ契約書作成料として〇百万円が必要。
〇企業の実態をさらに把握するために、銀行が紹介する△会社の査定を受け、調査料として〇〇万円が必要。
ここまでくると、融資よりも「手数料稼ぎ」のためのスキームとしか言いようがありません。
皆さんの周りもこのような提案があふれているはずです。
本当に自身に必要な融資なのか?
銀行の提案する全てが正しいのか?
この点を冷静に考えて、融資を検討することを強くお勧めします。