先日、りそな銀行が企業の財務諸表の粉飾決算を検知するシステムを開発し、今年度から導入すると発表がありました。
昨年来のコロナ禍で企業業績は厳しいものがあり、企業側としても資金調達のために「粉飾」に手を染めてしまう可能性も高いことが背景にあると思います。
今回は、金融機関にとって長年の課題である「粉飾」についてお話をさせて頂きます。
りそな銀行の「粉飾」検知システムは外部のクレジット・プライシング・コーポレーションと共同で粉飾分析用データベースを作り、決算書の財務諸表の粉飾時に起こる科目の特徴をAIに読み込ませたものです。
過去にも「粉飾」アラームシステムは存在しましたが、今回は預金口座のお金の動きも加味していることが特徴です。
つまり、決算書の「期末数値」だけを操作しても、その根拠となる「カネの流れ」に不自然さがあれば、察知できるようになるものです。
「粉飾」は金融機関にとって長年の懸案事項あり、察知する能力も「属人的能力」に依存していたのが実情ですので、審査能力の「平準化」がより加速するものと思われます。
「粉飾」する側の考えとして、誰も望んで粉飾に手を染める経営者はいないと思います。
「粉飾」のリスクを背負ってまで経営者が得たいものは何かを考えてみると
などの思惑があるはずです。
ただ、「粉飾」とは相手をだまして、実利を得ることになり(実利とは「融資」であり「受注」のこと)「詐欺」になります。
「粉飾」なんて上場企業をはじめ、世の企業は多くやっているだろう・・と考える経営者もいるとは思いますが金額の大小に関わらず「詐欺」は事実です。
結論から言えば、きちんと金融機関に謝罪して正しい決算に引き直すことです。
「そんなことしたら仕事できなくなる」という方も多いと思いますが、「粉飾」の末路は「破産」しかありません。
「粉飾」は一度やってしまうと、その一度が「常態化」し、さらに「嘘の上塗り」を重ねてしまいます。
「在庫」増やすぐらいいいだろう
「売掛金」ぐらいいいだろう
ではないのです。
金融機関側からすれば、「何となく粉飾の感じもするが、実際に正しい数値の根拠が見つからない」のが本音ですが、双方に疑義のある状態で取引を継続しても意味がありません。
「粉飾」する前にやることはただひとつです。
自らの事業や組織の在り方を改善し「黒字化」させること。
これを避けている経営者は「経営する資格はない」と最後にお伝えしておきます。