昨年11月27日に「地方銀行再編」を後押しするための法律が施行されました。大きな柱は人口減少や超低金利に加え、新型コロナウィルスの影響で地方銀行の経営環境が厳しさを増す中で、地銀同士が合併や経営統合に踏み切って、地域で大きなシェアを握っても、一定の条件を満たせば、独占禁止法の適用から除外されるものです。
いまだに銀行の数は「オーバーバンキング状態」にあり、再編の動きは加速していくことは間違いないと思われます。今回は再編の波に備えて企業は何を備えたらよいのか?についてお話しします。
都心地域ではメガバンク・地銀・信金・信組など金融機関の数も多いですが、地方になるとそもそも存在している金融機関の数も少ない地域もあるでしょう。
なかには「私の会社は借入する金融機関はひとつで十分」だと考える経営者も多いと聞きます。自身の財務内容に自信があることが理由だとは思いますが、これからの銀行再編に備えるには「1行取引」にはリスクがあります。
その1行の経営方針や支店の考え方で振り回されるリスクは、今まで以上に大きくなるでしょう。(コロナでの貸し倒れリスクや金融機関の旧型ビジネスモデルの限界から)
そのリスクを少しでも縮小させるためには、「複数の民間金融機関」+「政府系金融機関」との融資取引をしておくことをお勧めします。
投資で言うところの「リスク分散」を資金調達のためにも行っておくことが必要です。
例えば、企業がA銀行とB銀行と融資取引をしていて、A銀行とB銀行が合併した場合、基本的には融資残高の多い銀行が「主幹事銀行」となります。
仮にA銀行が主幹事となると、合併発表後、B銀行からは新規融資は行わず、A銀行にて全て新規融資が行われます。これは合併に向けてA銀行に融資取引を集約させるために行うものです。
さらにA銀行とB銀行の同士で各企業に対する情報を共有し、取引方針を決めていきます。
つまり、これまでAとBのふたつの銀行から融資の選択肢があったものがAのみに一本化されます。
皆さんではないかもですが、A銀行とB銀行に違う決算書を出している場合(いわゆる粉飾です)情報は共有化され、粉飾はバレてしまいます。(私が銀行の時に合併時に実際に遭遇した話です)
そのため、借入の選択肢を増やしておくためにも、融資取引銀行の数は、複数行っておくことが重要になります。
会社の規模にもよりますので、いたずらに銀行の数を増やしても管理が大変になってしまいますが、皆さんが所在する地域の金融機関の実情についてアンテナを高くしておくことがより重要になるのは間違いないでしょう。